もくじ
はじめに
以前の記事でマーケティングオートメーション(MA)について、ご紹介いたしました。
今回はSalesforce,Inc.(以下、Salesforce社 ) が提供するマーケティングプラットフォームである、Salesforce Marketing Cloud (セールスフォース マーケティングクラウド)について、ご紹介いたします。
Marketing Cloud とは?
Marketing Cloud とは Salesforce 社が提供する各種マーケティングプラットフォームの総称です。
マーケティングオートメーション(MA)、パーソナライズ・レコメンデーション、カスタマーデータプラットフォーム(CDP)、ビジネスインテリジェンス(BI)等、様々な製品が提供されています。
Marketing Cloud は主に以下の製品で構成されています。
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Marketing Cloud Engagement ( 旧称 ExactTarget )
主に BtoC の CRM やマーケティングで活用されるマーケティングオートメーションサービスです。マルチチャネル・デバイスでパーソナライズされたコンテンツを最適なタイミングで送信することができます。
従来はこの製品が Marketing Cloud と呼称されていました。 -
Marketing Cloud Account Engagement ( 旧称 Pardot )
主に BtoB の CRM やマーケティングで活用されるマーケティングオートメーションサービスです。マーケティング、および営業活動を単一のプラットフォームで自動化させることができます。
以前は、Pardot (パードット)と呼称されていました。 -
Marketing Cloud Personalization ( 旧称 Interaction Studio または Evergage )
BtoC 、BtoB 両方の CRM やマーケティングで活用ができる接客管理サービスです。
Web サイトや Web アプリケーションでのユーザーの行動をリアルタイムで収集、分析し、AI によるパーソナライズやレコメンデーションを行うことができます。
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Marketing Cloud Customer Data Platform
BtoC 、BtoB 両方の CRM やマーケティングで活用ができる CDP(カスタマーデータプラットフォーム)サービスです。Sales Cloud や Service Cloud 等のデータだけでなく、自社が保有するあらゆるデータを集積、統合することで顧客一人ひとりの全体像を明確化することができます。 -
Marketing Cloud Intelligence ( 旧称 Datorama )
BtoC 、BtoB ともに活用ができる BI(ビジネスインテリジェンス)サービスです。様々なレポートの作成を自動化させ、マーケティング活動に関連する人的コストとパフォーマンスを継続的に最適化することができます。
この記事では、上記の中から BtoC の CRM やマーケティングで広く活用されている Marketing Cloud Engagement についてご紹介します。
尚、便宜上、以下より Marketing Cloud Engagement を "Marketing Cloud" として記載します。

Marketing Cloud の特徴
Marketing Cloud には様々な特徴が挙げられますが、ここでは以下5つを取り上げます。
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マルチチャネル・デバイスでのマーケティングキャンペーンが実行可能
Eメールだけでなく、SMS、LINE、アプリ、Web といったマルチチャネル・マルチデバイスでパーソナライズされたメッセージ送信を行うことができます。 -
様々なデータを統合させた高度なセグメンテーションが可能
複数のデータソースを SQL で結合・加工・抽出することができる "Automation Studio" や、顧客に関する様々なデータを集約し、関連付け(リレーション)させることができる "Contact Builder" を利用することにより、複雑なセグメンテーションを Marketing Cloud 内で行うことができます。 -
マーケティングキャンペーンの自動化が可能(マーケティングオートメーション)
外部システムとのファイル入出力の自動化、フィルター機能や SQL を利用したデータ抽出の自動化が行える "Automation Studio" や、カスタマージャーニー※に基づいたメッセージ送信を実現する"Journey Builder"により、複雑なマーケティングキャンペーンを自動化することができます。 -
Sales Cloud や Service Cloud と連携したマーケティングキャンペーンの実行が可能
Marketing Cloud Connect と呼ばれる Sales Cloud や Service Cloud との連携を実現させるコネクタを利用することで、Marketing Cloud の強力なマーケティング機能と Salesforce のデータ管理機能を統合することができます。
勿論、Sales Cloud や Service Cloud を利用していない場合でも、Marketing Cloud 単体で活用することも可能です。 -
AI を活用したきめ細やかなパーソナライズやレコメンデーションが可能
Salesforce の AI である "Einstein" により、EメールおよびWeb上でのパーソナライズやレコメンデーション等を行うことができます。
商品やサービスの販売活動において、顧客の思考・感情・行動を分析し、認知→検討→購入に至るまでの一連のプロセスを"旅"として捉える概念。

Marketing Cloud の主な機能
Marketing Cloud は大きく分けて2つのモジュールで構成されています。
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Studio
Eメール、SMS、LINE、アプリ、Web、モバイル、広告等、各マーケティングチャネルでの施策実行が行えます。 -
Builder
顧客データの管理、コンテンツや画像ファイル等の各種アセットの管理、キャンペーンの自動化を管理します。
"Studio"には以下のアプリケーションが提供されています。
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Email Studio
グラフィカルなインターフェースでのメール作成、プレビュー・テスト、送信、トラッキングレポート等、高度なメールマーケティングが行えます。 -
Mobile Studio
SMS、アプリ、LINE といったモバイルデバイスに向けたマーケティングキャンペーンが行えます。 -
Advertising Studio
Instagram、Facebook、Twitter、Google広告等、様々なプラットフォームにわたるデジタル広告キャンペーンが行えます。 -
Web Studio
モバイルデバイスに対応したランディングページや小規模な Web サイトの作成、Web フォームの作成が行えます。 -
Automation Studio
外部システム連携、フィルター機能や SQL を利用した各種データの結合・加工・抽出等を自動することができます。 -
Interaction Studio ( Personalization )
見込み客を含めた全ての顧客のWebサイト行動を追跡し、個々の顧客の関心を把握し、リアルタイムなパーソナライズやレコメンデーションが行えます。
"Builder"には以下のアプリケーションが提供されています。
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Analytics Builder
Eメール、SMS、LINE、アプリ、Web におけるマーケティングキャンペーンの結果をレポートとして出力し、分析することができます。
この分析結果を基に、PDCAサイクルを回しながらマーケティングキャンペーンのパフォーマンスを継続的に向上させることができます。 -
Journey Builder
カスタマージャーニーに合わせたシナリオを視覚的に設定し、マルチチャネルでのマーケティングキャンペーンを自動化することができます。
後述する Audience Builder を使用して、購買履歴やイベント参加履歴等の顧客の行動履歴を基にセグメンテーションし、顧客に最適なタイミングでパーソナライズされたコンテンツを送信することができます。 -
Contents Builder
Eメールコンテンツやモバイルメッセージ、ランディングページのテンプレートの作成・管理を行うことができます。また、画像ファイルの管理も可能です。 -
Audience Builder (Contact Builder)
顧客に関する様々なデータを集約し、顧客IDでそれらデータを紐付け(リレーション)することができます。
これにより、商品カート放棄、イベント参加履歴等の顧客の様々な行動履歴を基に詳細なセグメンテーションが行えます。

Marketing Cloud Connect による Salesforce との連携
Marketing Cloud Connect と呼ばれるコネクタ機能を使用することで、Marketing Cloud と Sales Cloud や Service Cloud の標準オブジェクトやカスタムオブジェクトを連携させて、以下のようなことができるようになります。
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一括でのEメール送信
Salesforce の管理画面から、リード、取引先責任者、個人取引先、キャンペーン、レポートへの一括Eメール送信を行うことができます。 -
トリガーによるEメール送信
オブジェクトレコードの作成または更新をトリガーとして、取引先責任者、リード、または個人取引先にEメールを送信することができます。 -
データの同期
Sales Cloud または Service Cloud の標準オブジェクト、カスタムオブジェクトを対象として、指定した間隔で Marketing Cloud へデータを同期(連携)することができます。
この同期したデータを利用し、Marketing Cloud 内でデータの抽出や Journey Builder を利用したカスタマージャーにに基づいたシナリオ施策を実行することができます。 -
Journey Builder 連携
Salesforce のキャンペーンや、オブジェクトレコードの作成や更新の状況に応じて、カスタマージャーニーに基づいたシナリオ施策を実行することができます。
また、Marketing Cloud 側でのユーザーアクティビティに応じて、Salesforce 側のオブジェクトレコードの作成や更新を行うこともできます。

Marketing Cloud を活用し効果を上げるために必要なこと
今回ご紹介した内容以外にも、Salesforce Marketing Cloud には企業のCRMやデジタルマーケティング活動を強力にサポート、推進する数多くの機能が存在しているため、有効に活用することで、マーケティング活動のパフォーマンスを継続的に向上させることができると考えられます。
一方で、Marketing Cloud を効果的に使いこなすためには以下のような前提事項も考慮する必要があります。
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CRM や マーケティング目標の定義と戦略を明確化する
CRM やマーケティングの成功はツールを導入して終わりではありません。
目標の定義と KGI、KPI を明確化し、達成に向けた戦略や計画を明確にして推進していく必要があります。 -
継続的に運用できる人員・体制を確保する
Marketing Cloud を活用し、継続的に効果を上げるためには様々な役割りを担う一定の人員が必要となります。
例えば、以下のような役割りが挙げられます。-
プロジェクトマネージャー、コンサルタント
プロジェクトの目的や目標の定義、戦略や計画の立案等を行います。そして、プロジェクトを予算内かつ予定通りに遂行できるよう計画して管理します。 -
ソリューションアーキテクト、開発者
プロジェクト成功に向けて、技術上の課題解決やベストプラクティスに則ったソリューションを設計します。
そして、Marketing Cloud 内のデータモデリングや外部システム連携の実装等、データ統合に関わる開発を行います。 -
マーケティングマネージャー
目的や目標の達成に向けたキャンペーン計画を作成、実行、分析を行い、継続的にパフォーマンスを向上させます。 -
制作者、オペレーター
キャンペーン計画に従い、コンテンツの制作や開発、キャンペーンの設定やレポーティングを行います。
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プロジェクトマネージャー、コンサルタント
後者の人員の確保に関しては、どの役割りに関しても Marketing Cloud に関する深い知識が必要となる為、知識の習得にかけるコストや期間は相応に必要となります。
特にMarketing Cloudの導入は非常に負担のかかる作業になるため、専門的な知識を有する外部のパートナーと協力して進めることが一般的になっています。
最適なパートナーをみつけ、Marketing Cloud を最大限活用し、自社の CRM やデジタルマーケティングのパフォーマンスを最大化させましょう。
トライコーンでは、グループ企業である株式会社セプテーニ(※)と共に、Salesforce Marketing Cloudの 導入支援・活用支援サービスを提供しております。 デジタル広告代理店として、ウェブマーケティングや運用型広告で20年以上の実績をもつセプテーニと、25年以上にわたるCRM・Webマーケティング支援活動で培ったトライコーンのノウハウを基に、顧客獲得から優良顧客への育成・維持まで、広範囲にわたりお客様のビジネスの成功を支援いたします。
※株式会社セプテーニは株式会社セールスフォース・ジャパンの Salesforce Marketing Cloud コンサルティングパートナーの認定企業です。 ※「Salesforce」「Salesforce Marketing Cloud」「Marketing Cloud Engagement」「Marketing Cloud Account Engagement」「Marketing Cloud Personalization」「Marketing Cloud Customer Data Platform」「Marketing Cloud Intelligence」は、Salesforce.com Inc.の登録商標です。