データのサイロ化

【コラム】データのサイロ化で起こる問題とは

2021-02-24 17:00 (更新:2021-04-20 16:42)

「データのサイロ化」ってみなさんご存知でしょうか。

多くの方はあまりピンとこない言葉だと思います。

データのサイロ化について解説するにあたり、みなさんが想像しやすいようにデータがサイロ化されている状態を「タンス」と「引き出し」を用いて説明します。

以下の状態を想像してください。

私たちは今大きな倉庫にいます。そこには商品が保存されているタンスが大量に保管されています。

私たちは倉庫の中からAとGの商品を見つけ出さなければなりません。

しかし、タンスには商品のカテゴリー名が付けられていますが、その引き出しには何も書かれていません。

探す手がかりはタンスに記載されたカテゴリ名のみ。この広い倉庫の中からAとGを見つけるのに一体どれだけの時間がかかるのでしょうか?

データのサイロ化とはタンスの管理が担当者に委ねられており、引き出しの中身も外からはわかりづらい状態を指しています。

会社組織で言い換えると営業部が持っているデータ、マーケティング部が持っているデータはそれぞれが管理しており、情報にアクセスするには一定の手順を踏まなければならない状態を指しています。

データのサイロ化について想像できたでしょうか。

本稿のテーマはデータのサイロ化で引き起こる問題とその解決策です。できる限り専門用語を使わずに説明しますので、どうぞ最後までお付き合いください。

データのサイロ化自体は問題ではない

みなさまが所属されている組織はどのようにデータを管理されているでしょうか。

多くは事業部単位や各チーム(営業やマーケティング)で個別に管理しているのではないでしょうか。

たとえば、マーケティング部だとWebサイトのアクセスデータや広告データなど。営業部では商談中の顧客データなど。カスタマーサポート部では顧客からの質問リストや要望など。

大前提として、すべての会社組織がデータが分散して管理されている状態(≒サイロ化)を課題として認識するわけではありません。

組織自体が小さければ各部門へのアクセスも比較的容易であるためです。冒頭のように例えると倉庫自体も小さく、タンスの数も引き出しも少ないので、目視で確認できるため課題として認識されません。

データのサイロ化が問題となってくるのは、組織が拡大し事業部の数が増えたり、プロダクトの売上規模が拡大し扱うデータが多くなったりしてきた場合です。

組織の単位が小さくなることによって、権限移譲や業務の細分化が進み生産性が上がったり、取り扱うデータも少ないため管理がしやすくなるといったメリットがあります。

ではなぜ、データのサイロ化が課題として認識されるのでしょうか。

データのサイロ化で起こる問題とは

まず認識しておくべきことが2つあります。

一つは組織が細分化される目的は、各部門が互いに作用し成果を掛け算によって最大化を図るためです。売る人と支える人が同じよりも、それぞれが分かれて集中する方が効率は上がります。

二つ目はどの部門も目指す場所は等しく共通であることです。一般的には利益の最大化です。

それぞれ、役割は異なりますが、どこから目指すかの違いでしかありません。

この2つを認識した上で本題に戻ります。

データのサイロ化によって引き起こる問題は、部門間での連携を強化したい場合やデータ活用を推進してビジネスの成長を図る際の足かせになってしまうことです。

具体的に意思決定が遅れる、業務改善が進まないという問題も当然あるのですが、これはデータを統合して運用してみないことには認識すること自体が困難であるため、ここでは割愛します。

なぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか。

一つは各部門で業務やデータの管理が最適化されてしまっているということです。

たとえば、新しく資料を作成して保存するとき、できるだけファイル名に一貫性を持たせて保存するといったことはないでしょうか。

会社単位で命名ルールが決まっていれば問題ないですが、部門単位でルールが異なれば部外者が資料を探す際に手間になります。

もう一つは各部門が扱うデータの様式が異なる場合があるということです。

世の中にあるサービスはある課題を解決することに特化し、ほかのサービスと互換性をもって作られることはあまりありません。

現在のクラウドサービスにおいては、他社製品と連携する方法が開示されていたり、開発を依頼したりできますが、各部門が扱っているデータをすべてつなぐことは現実的ではありません。

たとえば、マーケティング部ではデータ分析サービスやメール配信サービスなどマーケティング領域に特化したツールを利用します。

営業部では商談情報の管理に特化したSFAツールなどを利用します。

それぞれが自部門の目標達成を効率化するために利用するわけですが、いざマーケティング部が持つデータと営業部が持つ商談データを組み合わせて利益の最大化を図りたいとなった場合、データの種類がそもそも異なるため統合させることが非常に困難です。

各データの種類を統一しエクセルにまとめることも不可能ではありませんが、とてつもない時間と工数が発生します。

このように、組織の仕組みや、扱うデータの仕組みに一貫性がないことによってデータのサイロ化が進みます。

CDPによるデータ統合

このような課題を解決するために登場したのがCDP(カスタマーデータプラットフォーム)です。

CDPは顧客情報を軸にさまざまなデータを統合するシステムです。

CDPの話を進める前に、データを統合するメリットについてお話します。

よくデータを統合することによるメリットの例として、広告効果の最大化やCX(Customer Experience)の改善があげられます。

これが間違いというわけではありませんが、これは部分的な要素に過ぎません。

より抽象度を上げると一つのメリットに集約されます。

それは全体最適化が促進されるということです。

データが統合されることは、独立して管理された情報を集約し民主化することを指しています。

マーケティング部が特定の施策のために用いるのではなく、営業部やカスタマーサポート、はたまた技術部までが統合されたデータをもとに、自部門の目標最大化を目指し、結果的に組織全体が最適化される方向に向かいます。

当然ながら、すべてのデータを統合するわけではありません。各部門が保有する親和性の高いデータ(主に顧客に関連するデータ)を集約・統合します。

具体的なメリットは以下のようなものがあります。

  • マーケティング:顧客理解、広告最適化、潜在ニーズの可視化
  • インサイドセールス:個別の顧客理解、商談化率の改善
  • セールス:個別の顧客理解、受注確度の向上
  • カスタマーサポート:解約防止、顧客体験の向上

さてデータ統合によって多くのメリットを享受でき、それはCDPを導入することで実現できるかもしれない、と思った方もいるかもしれません。

CDPの必要性についてはこちらでも解説しています。

CDPを導入するために認識すべきこと

しかしながらCDPの導入は簡単ではなく、それなりのハードルがあることも事実です。

技術的な話は割愛しますが、やはりネックとなるのはすでにデータが分散して管理されている状態(≒サイロ化)からスタートしなければならないということです。

つまりデータを使えるように各部門が整理する必要があります、

また、部門によってCDPの恩恵を受ける種類が異なるため、組織全体で設計を考える必要があります。

もし導入を進めるとなった場合、少なくとも半年~1年はかかると思われます。

弊社はDEVELTAというCDPサービスを提供しておりますが、設計の部分から運用フローの構築まで支援しております。特徴的なのは、単にデータを可視化するのではなく、各部門の担当者が閲覧する情報だけを表示するダッシュボードを提供します。

興味がある方はぜひこちらよりお問い合わせください。

まとめ

これまでデータのサイロ化で起こりうる問題から、CDPによる解決策を説明してまいりました。

冒頭でも述べた通り、すべての企業がデータのサイロ化が問題に発展するわけではありません。

CDPを導入するメリットも多くありますが、導入ハードルが高い事実もお伝えしました。

本コラムを読んで、読者の方がデータ活用を推進するための一助になれば幸いです。

CDPサービスDEVELTA