データのサイロ化

LTVとは?計算方法とLTVを高めるポイントについて解説

2020-03-13 18:00

LTV

SaaS企業やWEBマーケティングにおいて、近年欠かすことのできない概念となっている「LTV」。これは「ライフタイムバリュー」の略称であり、顧客生涯価値のことを指しています。

また、顧客生涯価値とは、生涯に渡って顧客が企業に対してもたらした価値を算出したものです。

自社サービスのLTVを把握することは、中長期的にサービス拡大・改善に役立ちます。

現時点のLTVを算出することで既存顧客への施策に力を入れるべきか、新規獲得に力を入れるべきかを判断する1つの指標になります。

ここでは、LTVの意味をはじめ、それを求めるための計算方法、LTVを高めるためのポイントについて解説します。

LTV(ライフタイムバリュー)とは

LTV(ライフタイムバリュー)は顧客生涯価値を表しており、これは顧客が企業のサービスを利用する際に、生涯にわたり利用する合計額を算出した数字のことでもあります。

言い換えると、LTVの数値が高いほど顧客は企業から長期的にサービスを利用しているということになり、信頼や愛着があると言い換えることも可能です。

例えば、現在SaaS企業であればビジネスモデルにサブスクリプション型を採用している企業が多いでしょう。

その場合、重要になってくるのがユーザーの解約率を下げ継続的にサービスを利用してもらうことです。

結果的にそれが企業の利益追求になり、企業の成長に寄与してきます。

さらに、現在は動画配信サービス(VOD)や音楽を始めとして様々なサブスクリプション型のビジネスを採用している企業の隆盛が目立っていることからも、欠かせない概念であり、企業はそれを留意して運営していることがわかります。

LTVと並行して重要視されるマーケティングROIとは

LTVと並んで重要視されているマーケティングROI(投資利益率)。

これはマーケティングにおいて投資した資本に対して得た利益のことを指しています。企業の大きな目的は利益を確保することに他なりません。

言い換えれば、企業は投資した金額よりも大きなリターンを得れれば黒字であり、目的を達成していることになります。

継続課金を支えるのがLTVであり、 LTVの数値が高いほど顧客の信頼や愛着を獲得している企業です。つまり、LTVの高い企業ほど継続課金されやすく利益追求に適しているといえます。

LTVを求めるための計算方法

LTVを高めることで継続課金されやすくなり、それがROIを高めることに繋がります。結果として企業はLTVが高いほど、利益を確保しやすい状態になります。

LTV=(平均購買単価 × 購買頻度 × 継続購買期間) – (新規顧客費用 + 顧客維持費用)

こちらに自社の製品やサービスを当てはめて計算することで、LTVの数値が出てきます。これに加えて同時に算出しておきたいのが、上限CPAです。CPAとは、新規顧客一人あたりの獲得費用のことを指しています。

LTVの計算方法 売り上げのみの計算

ここからは売り上げにおけるLTVの計算方法について見ていきましょう。

LTV=平均購買単価×購買頻度×継続購買期間

これがLTVの基本的な計算式になります。

実際に例を出して計算してみましょう。オンライン上で月額5,000円の洋服のレンタルサービスを展開しているとします。

そこで継続的にサービスを利用してくれる顧客のうち年間50%が離脱するとしましょう。これを式に当てはめていくと、

  • 平均購買単価 5,000円
  • 購買頻度(年間) 12回
  • 継続購買期間 1/0.5=2年
  • 5,000円(平均購買単価)×12回(購買頻度)×2(継続購買期間)=120,000円(LTV)

このようになります。すると、この企業は顧客を1人確保することで、その後は年間で120,000円の売り上げを見込めるということになります。

LTVの計算方法 費用を算出した場合の計算

サービスの認知獲得からユーザー獲得までには、マーケティング費用が少なからず発生します。

正確な実測的なLTVを計算するためには、このコストを差し引き計算する必要があり、その場合には先ほど計算したLTVから新規獲得費用と顧客維持費用を差し引きましょう。 (人件費も含める場合もあります。)

LTV=(平均購買単価×購買頻度×継続購買期間)ー(新規獲得費用+顧客維持費用)

これが費用を差し引いた計算式です。

新規獲得費用に10,000円、顧客サポートのメールを行うために10,000円の顧客維持費用が発生したとしましょう。これを先ほどのデータを使って計算してみると、

【5,000円(平均購買単価)×12回(購買頻度)×2(継続購買期間)】ー【10,000円(新規獲得費用)+10,000円(顧客維持費用)】=100,000円(LTV)

このようになります。すると、この企業は顧客を1人確保することでその後は年間で100,000円の売り上げを見込むめる、ということになります。

LTVを高めるためのポイント

LTVの計算式からも分かるように、LTVには様々な項目を当てはめ計算することになります。一見複雑そうに見えるかもしれません。

しかし、その分それぞれの項目を確認していくことで、不要なものは省き、必要なものは最大化する、ということができると言い換えられます。

企業経営やマーケティングには選択と集中が重要です。

LTVの計算式を見てわかるとおり、変数は限られています。何を増やすか、減らすのかを決め、LTV最大化につなげましょう。

ポイントは7つあります。その分改善できるチャンスが多いということです。

  1. 平均購買単価を上げる
  2. 購入頻度を上げる
  3. 継続購買期間を伸ばす
  4. 新規獲得費用を下げる
  5. 顧客維持費用を下げる
  6. 利便性を高める
  7. 顧客ロイヤルティを高める

①〜⑤は先述した計算式に該当する項目です。計算式に当てはめながらLTVの数値が高くなるように設定していくことで、最終的にLTVを高めるためのポイントが見えてくるはずです。

また、仮説を立てながら検証して、企業側の求める数値と実際の数値を比較することで、どこが足りないのか明瞭化されるでしょう。

例えば①の平均購買単価を上げても顧客が利用してくれるのであれば単価を上げることで成果が出るかもしれません。

それによって顧客が値段をネックに感じてしまうようであれば、賢明な判断とは言えないかもしれません。

しかし、1人の顧客が離れても結果的にLTVが高まるのであれば、企業としては成功施策ともいえるでしょう。

実際、企業やビジネスモデルによって様々な視点で考えれるので、LTV向上には完璧な正解はないというのが正直なところです。

概念を完璧に数値に起こしてビジネスに組み込むのは容易なことではありません。

しかし、企業が成果を上げていくには欠かすことのできない視点であることは間違いありません。

⑥や⑦は抽象的な項目ですが、顧客目線に立ち自らが1人の顧客として、そのサービスを俯瞰することで見えてくるものがあるはずです。

すると、本当に顧客にとって利便性が高いのか、他に改善する点はないのか、ということが顕在化されます。

さらに、利便性が高いのであれば顧客はそのサービスに対して信頼や愛着といった顧客ロイヤルティを感じてくれるはずです。

①〜⑤はもちろん欠かせないものですが、⑥や⑦を意識し1人の顧客としてLTVを加味することで①〜⑤の改善点も見えてくるはずです。

LTV(顧客生涯価値)のまとめ

今回の記事では、LTVの意味をはじめ、それを求めるための計算方法、LTVを高めるためのポイントについてご紹介してきました。

特にSaaS企業やWBEマーケティングにおいては、近年欠かすことのできない概念となっているLTVですが、長期的な戦略・利益を考える際に重要なポイントであり、ROIとの親和性も高いことがわかります。LTVを高めることでROIが高くなり、結果的に企業の利益確保に大きく貢献してきます。

LTVを計算して施策を立てていくことが、企業にとってポジティブに作用することは間違いありません。

まずは、記事の中盤でご紹介したLTV計算方法を参考に、自身の従事する企業や自身のサービスで計算してみましょう。

そうすることで、後半でご紹介したようにLTVを高めるためのポイントが明瞭化されてきますので、どこを改善すれば良いのかが認識できるようになってきます。

CDPサービスDEVELTA