データのサイロ化

LTVを上げるための考え方や戦略、具体的な計算式を紹介

2019-11-26 18:00

LTV

LTV(ライフタイムバリュー)とは、顧客生涯価値のことを表した数値を意味します。これを算出することで、リピーターを増やし、顧客を離さないための有効な施策を検討する指標になります。近年のマーケティングといえばWEBマーケティングが主流であり、その中で企業が売り上げを伸ばし、業績を上げるためには、LTVが必須の考え方であり戦略の1つです。

そこで、ここではLTVを上げるための考え方や戦略をはじめ、具体的な計算式や分析方法の例を挙げて、ご紹介していきます。これからWEBマーケティングで成果を上げたい方におすすめです。

LTVとは、リピーターを増やし顧客を離さないための概念

LTV(ライフタイムバリュー)とは、顧客生涯価値のことを意味しており、噛み砕いてお伝えすれば、顧客が一生の間に企業に対してどれだけのお金を払うのか表したもの。

つまり、LTVの数値が高いほど企業に対して信頼や愛着を持っており、顧客はお金を払います。

企業がWEBマーケティングにおける成果を確認する際には、コンバージョンを追うことが多いでしょう。

コンバージョンとは、顧客が訪問したウェブサイトにおける最終的な成果のことです。例えば、ECサイトであれば、商品の購入。製品やサービスの紹介サイトであれば、お問い合わせや資料請求。情報提供やコミュニティサイトであれば、メールマガジンや会員の登録、となります。

もちろん、コンバージョンを追うことも大切ですが、企業の継続的な成長を考える際には、その顧客が2回目以降もそのコンバージョンを獲得するのかと、いった長期的な目線を持つことが重要になってきます。

というのも、現在はサブスクリプション型のビジネスモデルを採用している企業の隆盛が目立ちます。これは、顧客にとってLTVが高く継続的に課金する価値があると考えられているからです。

よって、LTVが高く、信頼や愛着のある企業ほど長期的な売り上げを見込むことができます。

つまり、サブスクリプションモデルをはじめとして、企業の長期的な成長を考えるにはLTVを上げることが必須になってきます。

LTVが重要視される背景

LTVが重要視されるようになったのは、近年の市場の動向が大きな要因として上げられます。

高度経済成長期における大量生産大量消費に該当するような、作れば売れるという市場の伸びを感じさせる時代であれば切り売りのビジネスモデル、つまり、LTVを考えない方法でも売り上げを立てることができました。

しかし、近年は市場が飽和状態であり、新規で顧客を確保することが困難な時代になってきています。さらに、その背景にあるのが少子高齢化問題。

これは、そもそも消費を支えてくれる消費者の母数が少なくなるということです。これは視点を変えると、人口が減少するので市場の将来性が少ないということにもなります。

そんな市場の縮小が見込まれる中で企業が行うべき施策は、LTVを上げることでリピーターを増やし顧客を離さない状態にすることです。

顧客一人ひとりとの関係性を強固なものにし、繰り返し商品やサービスを利用してもらうということになります。

LTVの計算方法

実際に企業におけるLTVを算出する計算式はいくつかの方法があり、精度を高めていくには顧客一人ひとりとの数値を出していく方法がベストです。

しかし、数千人・数万人という単位で顧客を抱えている企業も多いはず。そのため、ここでは顧客全体のLTVを算出する最も基本的な式をご紹介していきます。

LTVは、「平均購買単価」、「購買頻度」、「継続購買期間」の3つを乗じることで算出できます。それから「新規顧客費用」と「顧客維持費用」を差し引くことで実質的なLTVになります。以下が計算式です。

LTV=(平均購買単価 × 購買頻度 × 継続購買期間) – (新規顧客費用 + 顧客維持費用)

こちらに自社の製品やサービスを当てはめて計算することで、LTVの数値が出てきます。これに加えて同時に算出しておきたいのが、上限CPAです。CPAとは、新規顧客一人あたりの獲得費用のことを指しています。

上限CPA=(LTV) × (利益率)

こちらの計算式で算出できます。このCPAを認識しておくことで、マーケティングにおいて新規顧客を獲得する際に、どれだけの費用をかけても採算が取れるのかが見えてきます。

LTVの考え方や効果

先ほどお伝えしたように、少子高齢化に伴う人口減少によって、現在は新規顧客を開拓するのが以前よりも難しい時代になっています。

さらに、新規顧客費用は顧客維持費用に比べて5倍以上のコストが発生するといわれています。

当然のことながら新規顧客の開拓も顧客維持も重要ですが、企業が重点をおくべきは、どちらかといえば現代においては後者でしょう。

さらに、市場の飽和によって顧客争奪は激化しており、それを肌で実感している方も多いでしょう。

特にマーケティングに従事されている方はこの流れを顕著に感じているはずです。

特に、レッドオーシャンと呼ばれる市場に身をおく企業は、先ほどの5倍以上の費用が発生している企業もあるかもしれません。

そこでも重視すべきはLTVの考え方であり、一度顧客になってもらえた既存の顧客から継続して課金してもらうこと、さらには取引金額を拡大していくことが大切です。

LTVを上げるための戦略・ポイント

LTVを上げていくためには、まず自社のLTVを算出してみましょう。

そうすることで、どこが削減できるのか、どこへ資本を投入していくことが可能なのか、ということが見えてくるはずです。

実際、LTVを構成している要素は無数に存在します。先ほどの計算式に直接該当する項目だけでも、「平均購買単価」、「購買頻度」、「継続購買期間」、「新規顧客費用」、「顧客維持費用」以上の5つの項目が存在していますので、まずはこちらをそれぞれ見ていきましょう。

その際に、活用すべき方法として「帰納法」という思考法があります。

これは、構成する1つひとつの数値や要素を洗い出し、そこから規則性を見つけ改善策を立案していくという論理的な方法です。

例えば、自社の平均購買単価が、競合となっている他の企業のサービスと比べて高いとしましょう。

その場合、顧客は単価がネックになり競合へ流出しているかもしれません。その数値を競合サービスと同額にまで下げたと仮定して最終的なLTVを算出してみましょう。

すると、購買頻度を増やすことで採算の取れるサービスになるかもしれません。

さらに、そうすることで営業や広告掲載が今以上に必要になるかもしれません。

こうして、最初はその金額が高いという点から思考しましたが、結果的に営業や広告の面まで思考し、具体的な方法を導き出しているといえます。

このように、その数値を1つ一つ見直すことで改善すべき点が見えてきます。

これらLTVに基づいた戦略を立案していくには競合分析や市場分析などまで加味する必要が出てきます。

そのため、LTVを考えるには様々な視点で物事を俯瞰する必要も出てきます。

企業にとって、これは負担になるかもしれませんが、その分大きなポテンシャルを持っていることも間違いありません。

まとめ

ここでは、顧客生涯価値を意味するLTVの概念や重要視される背景、計算方法、戦略的考え方についてご紹介してきました。

しかし、この記事を読んだだけでは成果は出ません。まずは、計算式に当てはめ数値化していくことで、具体的な施策が見えてくるはずです。

LTVを算出し、改善していくことをとおし、リピーターを増やす施策立案につながることは確かです。近年、主流であるWEBマーケティングにおいては特にその有用性を発揮するはずです。

また、企業は見える化が重要だと言われることがありますが、LTVはまさにビジネスにおける見える化の大事な指標の一つです。

CDPサービスDEVELTA