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サードパーティデータに頼らない、顧客情報基盤(CDP)の活用法

2020-04-17 12:01

CDP

顧客情報基盤(CDP)は、マーケティング施策をはじめ、さまざまな意思決定をデータに沿い論理的に行うための重要な要素です。

そんな顧客情報基盤(CDP)はもとより、デジタルマーケティングの分野では、2019年11月26日に、日本アドバタイザーズ協会より出された、「デジタル広告の課題に対するアドバタイザー宣言」が話題になっています。

これを発端として、「サードパーティデータの規制」や「顧客のweb行動データ(Cookie)に対する個人情報保護法の適用」に注目が集まっています。

サードパーティデータや顧客の行動データは適切に活用することで、企業にメリットが多くあります。

しかし、個人情報の重要性・機密性が増す昨今、先のニュースのような法的側面を考えると、企業のデータ活用は細心の注意を払う必要があります。

そこで新たに注目されているのが、ファーストパーティデータ、ゼロパーティデータの活用です。

今後の顧客情報基盤(CDP)において、ファーストパーティデータやゼロパーティデータの活用動向は、多くの企業で重要なテーマとなるでしょう。

本記事では、そんな顧客情報基盤(CDP)やそれに付随するデータ、また企業の対応についてご紹介していきます。

この記事のポイント

  • この記事のポイント
  • サードパーティデータ規制の背景は個人情報保護
  • ファーストパーティデータは企業が持つユーザーデータ
  • ゼロパーティデータはユーザーが意図的に企業に提供したデータ
  • データ規制に伴う、今後の企業の対応は顧客の特性を理解すること
  • マーケティングチームと営業チームの連携にはCDPの活用が最適

顧客情報基盤(CDP)とは

CDPサービスイメージ

そもそも顧客とは、自社の商品やサービスを購入・利用してくれる対象のことを指します。

顧客は企業運営に欠かすことのできない存在であり、その顧客情報を管理する基盤が顧客情報基盤(CDP)です。

言い換えれば、企業運営に際して必須の要素である顧客情報を適切に管理することが、企業運営のポイントです。

企業の顧客には対法人(toB)、対個人(toC)といった差はあるものの、顧客情報の統合的な管理なしでは効率的かつ生産的な企業運営を行うことはできません。

つまり、企業目的である売り上げアップや業績の向上を目指す際にも、顧客情報基盤は、重要な要素の1つなのです。

顧客情報基盤(CDP)の重要性

顧客情報が多くの企業で重要視されている昨今。特に企業側が留意しておきたいのは、顧客ニーズが曖昧化していることです。

なぜなら、多くの企業が多種多様な商品やサービスを提供した結果、顧客は選ぶ選択肢と同時に検討する手間も増加したためです。

例えば、企業による商品・サービスの価格の違いはもちろん、色や容量、スペックなどが該当します。

この背景には、スマホやインターネットの普及、いわゆる情報化が挙げられます。これにともない顧客は、比較的容易に情報をキャッチできるようになりました。

その結果、以前にも増して顧客は企業情報や商品・サービスの情報など、あらゆる情報の中から自分にあった商品やサービスを選べるようになっています。

そこで、消費者の購買行動は二極化がおきています。

必要かつ興味のある商品・サービスには時間をかけて検討します。

一方で、必要だが興味の薄い商品・サービスは検討せずに、価格が決定基準になっているのです。

実際に商品・サービスを購入・利用する際に「”安いから”〜買おう」といった心境になった経験がある方も多いのではないでしょうか。

消費者の購買行動は二極化すると、企業の対応も基本的には2つです。

顧客ニーズを捉え、なおかつ興味をそそる商品・サービスを提供する。

または他社の商品・サービスと価格競争を行うことです。

多くの企業は後者の価格競争を嫌うでしょう。

価格競争を行わず購入・利用してもらうためには、顧客情報の分析が重要です。

そのためにも顧客情報を集約・紐付け・保管する顧客情報基盤(CDP)は企業にとっても準備しておきたいものです。

これにより1人1人の顧客に対する適切なマーケティングや営業活動をはじめ、さまざまな施策をデータに沿い論理的に行えます。

つまり企業は、顧客視点で施策を講じることが可能になるのです。

結果、顧客ニーズを捉えなおかつ興味をそそる情報・商品・サービスを顧客に提供できるようになるでしょう。

サードパーティデータとは

サードパーティーデータとは

サードパーティデータは、ファーストパーティデータ(※後述)以外の第三者によって提供されているデータを指し、潜在顧客へのアプローチにも有効です。

これは、「第3のデータ」とも呼ばれており、一般的には民間企業が提供するデータをいいます。

また、自治体や国は提供している各種データはオープンデータといいサードパーティデータの一種です。

サードパーティデータの崩壊?

適切に活用することで有効なサードパーティデータですが、個人情報保護の観点から大きな問題にもなっていることも事実。

というのも、ユーザー(本人)が意図していない企業にデータを流用されてしまうケースがあり、弊害を受けるユーザーがいるからです。

私たちは私たちの個人データが企業でどのように利用されているかを自身で明確に把握し切れていないのも現状です。

並行してGDPR、CCPAで、個人情報の外部への提供に関して本人の細かな合意がもとめられます。

日本の個人情報保護法の改正でも同様の方向になると考えられます。

つまり、サードパーティデータとしてデータを提供する会社はそのデータの源の本人の同意をしっかりとっておくことが必要です。

同時に自社のファーストパーティデータを外部のサードパーティデータと連携させる場合も、そのサードパーティデータがユーザーの本人同意を得られたものかまでを予め確認する必要が出てきました。

よって、これらの規制が導入される前までのように安易に自社のデータ(ファーストパーティデータ)を外部データ(サードパーティデータ)と結びつけることができなくなってきています。

GDPRの規制やCCPAの規制 個人情報保護法改正による影響

ヨーロッパのEU一般データ保護規則(GDPR)やアメリカのカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)ですでに個人情報保護改正の動きは進んでいます。

現に、日本におけるサードパーティデータやcookieに対する考え方についても、個人情報保護法改正をはじめ、さまざまな取り組みが進んでいます。

こういった動向の中で個人情報をはじめとするプライバシーを保護しつつ広告やマーケティングに活かせるファーストパーティデータが注目を集めているのです。

ファーストパーティデータとは

クッキー

ファーストパーティデータとは、企業のウェブサイトやSNSのアクセス情報、顧客情報(個人情報・購買履歴)などにおいて、顧客の同意が得られた自社で収集したデータを指します。

企業において顧客の実態を把握するために、ファーストパーティデータを活用することは有用な手段です。

実際、顧客のアフターフォローや新商品開発などのマーケティング施策に、このファーストパーティデータの活用は必須です。

社内で何かしらの施策を講じる際には、必ずと言っても良いほどこのデータの活用が求められているでしょう。

しかしファーストパーティデータは、既存顧客の情報を元にしたマーケティングには有効な反面、潜在顧客に対するアプローチでは工夫が必要です。

たとえば優良顧客のみを抽出して個人を特定できるデータ等を削除し、その上でそのデータを使ってweb広告で類似ユーザー広告配信する等、データの加工等が必要になります。

また、自社データと結びつける媒体社側のデータがどのようなユーザー同意に基づいて収集されたものかにも注意しておく必要があります。

つまり、類似ユーザー広告配信を使ってもその規模は少ないものになってしまう傾向にあります。

ゼロパーティデータの台頭

ゼロパーティデータは顧客が主体的に提供したデータです。また2018年に提唱された新しい考え方で、今後注目が集まるデータの1つです。

改めて、おさらいするとファーストパーティデータは企業が持つユーザーデータ。

ゼロパーティデータはユーザーが意図的に企業に提供したデータです。

身近な例をあげると、3Dで足のサイズが測れる「ZOZOマット(※)」、3Dで体のサイズが測れる「ZOZOスーツ(※)」が挙げられます。

これはユーザーが自ら身体情報をZOZO(※)に提供し、ZOZOはユーザーに合った最適な衣服や情報を提供する構図になっています。

そのため、このZOZOの事例はゼロパーティデータです。

サードパーティデータの利用が困難になる中、この事例のように今後企業はゼロパーティデータの収集がポイントになるでしょう。

(*)ZOZO、ZOZOマット、ZOZOスーツは株式会社ZOZOの登録商標です。

顧客特性に合わせて手法・ツールを変える重要性

顧客理解

一括りにデジタルマーケティングといっても、さまざまなマーケティング手法が存在します。

ZOZO(※)のようにゼロパーティデータを活用した手法や、ファーストパーティデータやサードパーティデータを活用した手法が該当します。

また、データの取得にはウェブサイトやSNS、メルマガといったように、さまざまなツールが存在します。

結果、自社にどのようなマーケティング手法・ツールが適切なのか、迷いが生じることもあるでしょう。

しかし、どのような手法やツールを活用するとしても、最も企業側が重要視するべきテーマは1つ。

自社の商品・サービスの対象となる顧客の特性に合わせることです。

またその顧客特性に応じたツールを活用し、コミュニケーションをとることも必須。

そうすることで、最終的にLTV(顧客生涯価値)が向上し、売上拡大や業績アップにつながります。

重要なのは顧客情報基盤(CDP)で顧客の特長をつかむこと

セールスのためのCDP

昨今サードパーティデータの利用が困難になる中、自社でファーストパーティデータやゼロパーティデータを取集する必要が出てきました。

そのデータ収集に関して企業の現状を見てみると、例えばファーストパーティデータの種類をだけでも

  • webアクセスログ
  • アプリログ
  • メールログ
  • SNSのアクセスログ
  • web広告CVログ
  • 購買ログ
  • お問い合わせログ
  • アンケートなど

多岐にわたりデータの取得ツールデータの格納場所も様々です。

そのためこれら分散しているデータを一元的に管理する仕組みが顧客情報基盤(CDP)です。

CDPを活用することで、顧客ID等でデータを紐付けることが出来、そのデータを可視化分析することで自社の顧客理解をすすめることが可能になります。

また、どのようなマーケティングが適しているのか、どこに注力するべきかも見えてきます。

さらに言えば、マーケティングのみならず営業でもデータに沿い顧客にアプローチできるようになります。

また、CDPの活用はもしもペルソナ外の属性が多数存在する場合にも有用で、新たな顧客獲得のヒントになります。

マーケティング・営業チームの顧客理解にもCDP

セールスマーケティング

多くの企業にはマーケティングチームと営業チームが存在するでしょう。

マーケティングチームは、ウェブサイトやSNS、セミナー、展示会などで集客を行い、それを基にリストを作るのが一般的です。

一方、営業チームは顧客とのスケジューリングや商談などクライアントワークをメイン業務にしています。

2つのチームは企業に欠かせない存在で、双方が表裏一体となり顧客を理解することで、効率的に売り上げを伸ばすことが可能です。

また適切にデータをすり合わせることで組織内の対立を防ぎ、顧客視点かつ結果的に売り上げに寄与する施策の体現にもつながります。

しかし、2チームの顧客理解には食い違いが発生すケースも珍しくありません。

実際に「既存の顧客情報を有効活用できていない」「購買の見極めができていない」その結果、「現場レベルのセグメントになっていない」といったケースが想定されます。

またチームごとの悩みを見てみましょう。

マーケティングチームでは「時間をかけて作ったリストを営業チームは効果的に活用できているのか」「クライアントの進捗状況が共有されていない」といった悩みを抱えているかもしれません。

また営業チームでは「スムーズにリストを共有して欲しい」「スケジュールや顧客情報を一元的に管理したい」といった悩みを抱えているかもしれません。

こういった悩みや問題を解消するにもCDPは効果的です。

実際にマーケティングチームと営業チームに必要なデータを一元的に管理・共有することができ、双方から確認できます。

結果、先に挙げた悩みも解消され、顧客理解を深めることができます。

他にもチーム内だけでは発見できなかった問題点や改善点の発見にも寄与し、表裏一体で業務にあたることができます。

サードパーティデータに頼らない自社独自の勝ちパターンを見つけよう

顧客情報基盤(CDP)の重要性から、その分野でホットな話題となっているサードパーティデータや個人情報に関するデータ活用を見てきました。

サードパーティデータは個人情報保護の観点から今後利用が困難になってくるでしょう。

そこでサードパーティデータに頼らないファーストパーティデータ、ゼロパーティデータの活用が注目されています。

またデータ活用の際には、企業の核となるマーケティング・営業チームの連携が重要です。

さらに2チームが連携するためには、CDPを活用しデータの管理・共有し、顧客理解につとめることが重要です。

そうすることで、自社の勝ちパターンを見つけることができます。

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